緩和ケア外科


当院の緩和ケア病棟は2003(平成15)年11月に設立されました。当時はまだ数も少なく先進的な取り組みでしたが、今では11年を超える実績と経験からの緩和ケア診療を提供しています。多様化したがん診療において、終末期医療だけではない急性期医療とのコラボレーションで進化した緩和ケアをめざしています。

【緩和ケアの新しい位置づけ】

WHO(世界保健機関)では以下のように定義されています(2002年)。「緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアルな問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である」としています。「終末期」という言葉はどこにもありません。がんに対する緩和ケアは、終末期医療と同義語ではないのです。(図1)厚生労働省の「がん対策推進基本計画」では、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」を重点的に取り組むべき課題として位置づけています。手術や抗がん剤、放射線治療などの抗がん治療が行われる患者さんに対しても、がんに伴う痛みや吐き気などの諸症状、精神的な苦痛などから早くから介入し、解決することが必要です。緩和ケアが早期に介入することでがん患者さんが、よりQOLの高い期間をより長く過ごせることが報告されています(図2)。今後がん診療において、急性期医療と並び立つ2本の柱の一つとしての位置づけが強まっていくことが予想されます。


図1 緩和ケアとがん治療のチャート、図2 早期からの緩和ケアの介入













【新しいお薬と機器】

この数年間で多くの新薬が医療現場に投入されています。例えば、以前はほとんどモルヒネ製剤だけであった鎮痛薬も、より副作用の少ない薬剤、投与経路が選択できる薬剤(貼付剤、注射剤、バッカル錠、舌下剤、坐薬など)(図3)や、また携帯用シリンジポンプ(図4)など新たな機器などが多数登場しています。それに伴い緩和ケアには高い専門性が要求されるようになっています。


図3 貼付剤、図4 携帯用シリンジポンプ