脳神経外科


脳にやさしい最新の脳神経外科手術


【診療方針】
最新の手術支援技術を駆使することにより、脳にやさしい、高レベルな医療を提供しています。患者さん一人ひとりの状態を十分に評価し、最高の治療を行うように努力しています。


【診療の特色】
わたしたち脳神経外科は、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳卒中、脳腫瘍や脊髄腫瘍、頭部外傷、三叉神経痛、顔面けいれんなど、幅広い脳神経疾患を対象としています。九州大学脳神経外科関連施設のなかでは、北部九州における基幹病院として位置づけられています。
脳卒中だけでなく、手術難易度が高い頭蓋底腫瘍や脊髄腫瘍に対する外科治療も積極的に行っています。これまで、脳神経外科手術は名人芸といわれ、手先の器用さをはじめ、解剖学的知識、空間認識力、経験といった術者個人の能力に大きく左右されていました。近年では、テクノロジーの目覚ましい進歩により、画像診断技術に基づく詳細な術前評価と術中脳機能評価が可能となり、脳血管や脳神経を巻き込みながら発育している手術難易度が高い脳腫瘍の摘出術も安全、確実に行えるようになりました。


(1)最新の脳神経外科手術支援技術
  • 三次元融合画像
    高磁場MRIやCTスキャン、血管造影検査で得られた数々の画像データを、最先端のソフトウェアと高度な画像作成技術を駆使して一つに融合して三次元画像を作成します。これにより詳細な術前シミュレーションが可能となりました。画像はコンピュータ上で自由に回転することが可能で、様々な角度から検討することができます。


  • 術中ナビゲーション
    ”カーナビ”と同じような原理で、術者が手術中に操作している脳内の位置を、1〜2mmの誤差でリアルタイムに示してくれる装置です。


  • 術中蛍光脳血管撮影
    血管の中にきちんと血液が流れているかどうかを手術をしている最中に評価する方法は、大がかりな血管造影検査以外には、聴診器のような音で判断するドップラー血流計という不完全な方法しかありませんでした。インドシアニングリーン(ICG)という蛍光色素を静脈注射し、特殊なフィルターを通して観察すれば、血液の流れている部分だけを観察できます。これにより、大切な血管の中の血流が保たれているかどうか、頭蓋外頭蓋内バイパスが開存しているかどうか、脳動脈瘤が適切に処理できているかを手術中に確認できるようになりました。


  • 電気生理学的脳機能モニタリング
    脳や神経にごく微量の電流を流し、その反応を見ることで脳機能を評価する手法です。運動機能を評価する運動誘発電位(MEP)、感覚機能を評価する体性感覚誘発電位(SEP)、視覚を評価する視覚誘発電位(VEP)、聴覚を評価する聴性脳幹反応(ABR)、顔面筋の動きを評価する顔面神経機能モニタリング、飲み込みや発声機能を評価する下位脳神経機能モニタリングなどが含まれます。電気生理学的脳機能モニタリングのおかげで、術後の脳機能障害は従来とは比較にならないほど少なくなりました。

(2)地域連携体制
  無事に手術が終わった後は、地域のリハビリテーション病院やかかりつけの先生方と連携
  しながら、退院後のサポートを行っています。患者さん個人々の病状や生活環境に合わせ
  て、幅広い選択枝を準備して、地域医療連携室のスタッフとともに、満足していただける医
  療を提供していくことをめざしています。


【取り扱っている疾患】
(1)脳血管障害
  • 脳動脈瘤
  • 脳出血
  • 脳動脈奇形
  • 内頚動脈狭窄症・閉塞症
  • 中大脳動脈閉塞症
  • もやもや病
(2)脳腫瘍
  • 髄膜腫
  • 神経膠腫
  • 聴神経腫瘍
  • 転移性脳腫瘍
  • 下垂体腺腫
  • 悪性リンパ腫
(3)脊椎脊髄疾患
  • 髄内腫瘍
  • 硬膜内髄外腫瘍
  • 硬膜外腫瘍
  • 脊髄硬膜動静脈瘻
  • 脊髄動静脈奇形
  • 脊椎症
(4)頭部外傷
  • 急性硬膜下血腫
  • 急性硬膜外血腫
  • 慢性硬膜下血腫
  • 脳挫傷
(5)その他
  • 水頭症
  • 三叉神経痛
  • 顔面けいれん

【検査】
(1)脳血管撮影(3次元回転DSA)
(2)MRI(3T・1.5T、3D-volume撮影、MRA、拡散テンソル)
(3)CT(64列)
(4)RI検査(脳血流シンチ、脳槽シンチ)
(5)頸動脈エコー
(6)経頭蓋カラー超音波検査
(7)電気生理学的検査(SEP、MEP、神経伝導速度など)

【実績】

2010 2011 2012 2013 2014
脳血管障害 48 50 56 62 50

脳動脈クリッピング術 18 7 14 8 11
破裂 7 1 8 5 5
未破裂 11 6 6 3 6
脳出血 13 11 7 13 5
開頭血腫除去術 12 11 7 7
(内視鏡5)
4
(内視鏡1)
定位的血腫吸引術 1 0 0 0 0
AVM/AVF 0 4 0 1 1
血行再建術 17 28 35 41 33
内頚動脈血栓内膜
剥離術
13 23 29 33 25
バイパス術 4 5 6 8 8
腫瘍 17 18 11 21 12

開頭腫瘍摘出術 9 10 7 17 10
定位的生検術 5 0 2 3 2
オンマヤリザーバー留置術 3 8 2 1 0
経蝶形骨洞的摘出術 0 0 0 0 0
外傷 23 32 35 34 25

慢性硬膜下血腫 20 30 34 32 21
急性硬膜外血腫 0 0 0 1 0
急性硬膜下血腫・脳挫傷 3 2 1 1 4
脊椎・脊髄 9 5 3 1 1

頚椎後方除圧 2 1 0 0 0
頚椎前方固定 2 2 2 2 0
腰椎後方除圧 4 0 0 0 0
胸椎後方除圧 0 0 1 1 0
脊髄腫瘍 1 2 0 1 1
急性硬膜外血腫 0 0 0 0 0
その他 25 16 23 17 21

シャント 16 9 18 8 9
神経血管減圧術
(顔面痙攣)
0 1 1 1 0
脳室外ドレナージ 2 1 0 3 4
脳膿瘍穿刺排膿 1 0 0 0 0
その他 6 5 4 5 8
総  計 122 124 128 135 109
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